聴くということ

僕は思いきってバンドメンバーに話しかけてみました。モゴモゴとした英語で「素晴らしかった」という趣旨のことを言い,最後に「I want to be a jazz pianist.(僕はジャズピアニストになりたいんです)」と言うと、彼は、ゆっくりとした英語で、こう答えてくれました。「Listen & Practice(聴きなさい、そして練習しなさい)」

この言葉の正しさは、ジャズの勉強を続けるにしたがい、重みを増してきました。ピアノの前に座っての練習が大切なことは言うまでもありませんが、それと同じぐらい、「聴く」ことが大切なのです。CDでも、ラジオでも、生のライブでも、YouTubeでも、とにかく聴き漁ること。そして、ただ聴くのではなく、そこから何かを学び取ろうとする姿勢、あるいは上質の音楽を身体に染み込ませるイメージトレーニング、これらが糧となり、練習の羅針盤となるのです。たとえ自分では弾けないテクニカルな演奏でも、弾けている「つもり」になって、身体と指を動かして聴くこと、これが効果を生むのです。